格安スマホのメリット・デメリット

格安スマホは、文字通り確かに格安でスマホが持てます。ただし、当然ながらメリットしか無いわけではありません。個々人のスマホの利用の仕方によって、格安運用をしたほうが良い人、しないほうが良い人に分けられるのです。

まず、格安回線(MVNO回線)の特徴

容量・速度の制限!

格安回線が、従来(携帯3社)の回線と違うのは、1ヶ月あたりに通信できる量と、通信の速度が大きく制限されているという点です。これが格安の理由です(詳しくは別記事)。

例えば、今話題の「イオンのスマホ」第3弾の契約の場合、データ通信は毎月2GBまでで、これを超えた場合値上げはありませんが200kbpsという超低速に制限がかけられます。

ちなみに、200kbpsとはどのくらいかというと、メールやLINEなどの文字情報のやりとりは可能で、ウェブ閲覧や写真などのデータの送受信は時間がかかり、動画サイトなどはほぼ無理、というような速度です。

また、通信の速度に関しては、最近はLTEなどの高速ネットワークを利用できる契約も登場していますので、従来の回線とさほど変わりなくなってきています。しかし、上述のように毎月の容量は制限されているため、速いからと言って調子に乗って使っていると、すぐに容量オーバーという結果になってしまいます。

電話が高い!

格安回線は、多くの場合音声通話が非常に高額です。音声通話とは、LINEやSkypeなどのインターネットを通じた通話ではない、従来の電話機能を利用したものを指します。例えば、これもイオンのスマホ第3弾の契約の場合、30秒20円となっています。

おすすめの利用法

以上を踏まえ、どのような利用法が向いているのでしょうか。私なりには、次のような方が格安スマホに向いていると考えています。

WiFi(無線LAN)を活用できる人

これがかなり重要です。格安スマホでも、ほとんどの機種でWiFiが使用できます。家に無線インターネットがある人は、これに接続して使用するぶんにはどれだけ使ってもお金はかかりません(もちろん、接続先のWiFiの契約は別ですが)。会社や大学などに利用できるWiFiがあればこれも同様に使用できます。

また、一部の格安スマホには、町の公衆無線LANの利用権がセットになっているものも存在します。この場合は、これも活用できます。

WiFiの圏内では、携帯電話回線は使用されないため、高速で動画サイトでも、LINEなどの通話でも使い放題です。

このため、格安スマホの運用は、WiFiの活用がかなりキモになると思います。

基本的に、メールやSNS系などの連絡手段としてしか使わない人

扱うデータが、文字情報やそれほど大きくない写真などであれば、1ヶ月2GBもあれば十分に収められます。スマホはあくまで連絡手段で、動画サイトもアプリも興味ない、なんて人には、格安スマホは向いています。

とはいえ、時々のウェブ閲覧くらいは可能だと思いますし、上述のようにWiFi圏内ではいくらでもなんでも使うことができます。

電話をほとんど使わない人

これはかなり重要です。上で述べたとおり、格安スマホは音声通話(従来の電話機能)は時間あたりがとても高額になりますので、よく電話をする人には向かないということになります。ただし、たまに行うぶんには、時間あたりが高くても、従来の契約を持っておくよりは結果的に安くなる可能性が高いので、問題ありません。

LINEやSkypeといった、インターネットを通じた通話を携帯回線で行うことは微妙です。これらは連続的にデータを送り続けるため、容量オーバーが早まる可能性があります。これらも、WiFiがあるところでのみに限ることをおすすめします。

こんな人に向いている!

よって、格安スマホは次のような人に向いていると思います。

  • まず、電話はあまりしない。
  • 大量のデータ通信を伴うウェブ閲覧、アプリのダウンロード、LINE通話やSkype、動画サイトなどはWiFiのあるところでのみ行う。このために、家や会社・学校でWiFiが利用できることが望ましい。
  • 移動中などは、文字を主体にした連絡、少しのウェブ閲覧くらいに抑える
  • ある程度は、スマホのことを理解して使える

以上だと思います。携帯3社は格安スマホの台頭を受けて、逆に上記に当てはまらない人に特化して収益を得ようとしているようですので、格安スマホに向いている人は乗り換えなければ、今後は損をさせられてしまう可能性が高いのです。

格安回線(MVNO回線)はなぜ安いのか。

今回は、格安スマホで利用される格安回線(MVNO回線)がどうして安いのかを考えてみましょう。

MVNO回線とは

MVNO回線とは何でしょうか。MVNO:Mobile Virtual Network Operatorとは「仮想移動体通信事業者」の意味で、携帯基地局などのネットワーク設備を自前で持たず、ドコモなどのネットワークを借りてビジネスを行っている携帯事業者のことです。MVNOMVNO事業者は、基地局などのネットワーク設備はドコモなどから借りて事業を行っています。よって、つながりやすさなどは提供元と変わりがないのです。安いからといって、圏外が多い、などということはないのです。

どうしてMVNO回線は安くできるのか

では、どうしてMVNO回線は安く利用できるのでしょうか。ドコモなどから設備を借りているのに、どうしてドコモよりも安く利用できるのでしょうか。MVNO安さの仕組みこれは、安さの仕組みを簡単に説明したイメージです。 値段などの数値は便宜上です。

まず、MVNO事業者はドコモなどにネットワーク使用料を払って、一定の通信速度・通信量のネットワーク使用権を借り受けます。

これを、MVNO事業者はそのままユーザに使わせるのではなく、1ユーザあたりの通信速度・通信量に厳しめの制限をかけて提供します。これは、最初にドコモから借りた使用権を「分割」して各ユーザに提供していることに相当します。

例えば、MVNO事業者が最初にドコモに支払ったネットワーク使用料を12500円として、それを通信速度・通信量で125に分割して提供したとしたら、1ユーザあたりの使用料は100円というように安くできるわけなのです。分割を多くすればするほど、ユーザの利便性は低下しますが、ユーザが支払う金額は下げることができるのです。

 

 

 

「格安スマホ」とは何か。

kakuyasu最近何かと話題の「格安スマホ」。従来のスマホとどう違うのか、どうして格安にできるのか、どういう人に向いているのか、考えてみようと思います。

ズバリ言うと、

格安スマホ = 格安端末 + 格安回線(MVNO回線) のパッケージです。イオンなどが最近この販売に乗り出してきています。

従来のスマホとどう違うのか

まず、格安スマホは従来のスマホとどう違うのでしょうか。ここでいう従来のスマホとは、携帯キャリア3社(ドコモ、au、ソフトバンク)が、以前から提供しているスマホとその契約のことです。

違いその1: MVNO回線を使用している

まず、MVNO回線とは何でしょうか。Mobile Virtual Network Operator:MVNOとは「仮想移動体通信事業者」の意味で、携帯基地局などのネットワーク設備を自前で持たず、ドコモなどのネットワークを借りてビジネスを行っている携帯事業者のことです。これにはb-mobileが代表的です。

MVNO回線は、一ヶ月に通信できる量や通信速度が大きく制限されているものの、携帯キャリア3社による契約より大幅に安く利用できるという特徴があります。この理由は後ほど述べます。

違いその2: 機種本体に安いものを使用

格安スマホは、そもそも携帯機種本体に大幅に安いものを使用しています。これは、近頃の価格破壊によって実現したものです。格安スマホの多くは中国などのあまり聞き慣れないメーカの機種を利用していますが、品質はかなり高いです。

日本では、携帯3社の従来からの契約では、端末料金を分割支払いとし、利用料金に上乗せすることで実質無料のように見せかけることが長年行われてきたため、機種「本体」の値段という概念があまりありません。しかし、実際には当然お金がかかっているので、これを安いものにすることで、携帯自体の維持費を安くすることができるのです。

例として、iPhoneの最下位機種「iPhone 5c 16GB」のSIMフリー版は57800円ですが、イオンのスマホ第2弾は15120円です。(2014年9月3日現在)

違いその3: わかりやすい料金体系

従来の携帯キャリア3社の料金体系は、非常にわかりにくいものでした。しかも、そこかしこに罠が仕掛けられていて、かなり勉強して臨まないとすぐに不要な料金を搾り取られたりしたものです。

しかし、格安スマホの契約は、非常に単純明快です。最初に端末代を支払って端末を買い、あとは毎月契約に応じた利用料を支払うだけ。なんとか割2年契約で、途中解約は違約金だとか、そういう悪どさは一切ありません。(単純に端末を2年ローンにして利用料と一緒に支払うなどのオプションはあります)

ThinkPad E430を貸与される

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大学院のリーディングプログラムで、ThinkPadを貸与いただきました。貸与といっても、大学に在籍している間はずっと借りていられるようなので、ほとんど自分のPCのように使用することができます。正直、それほど使うあてがあったわけではないのですが、とりあえず無償で貸していただけるということだったので借りてみることにしました。型は、ThinkPad E430というものです。

CPUはCore i7(おそらくIvy Bridge世代)、メモリは4GB、HDDは500GB、OSはWindows 7が入っていました。Office 2010(含パワポ)も入っています。ThinkPadファミリの中ではエントリーモデルのようですが、カスタマイズとしてはそこそこ上のようです。

最近のノートパソコンは低価格化が進み、エントリーモデルなどは特に筐体のチープ化が進んでいるように思います。CPUなどは超高性能なくせに、筐体はチープというなんともチグハグな状況です。正直、本製品もその流れではあり、かつてのIBM時代の頑丈な分厚いプラスチックの筐体ではありません。ですが、想像していたよりはずっと良いものでした。

↓CDドライブを開いたところ。プラスチック表面の仕上げの粗さが目立つ。製品の作りこみは、このような細部に現れるのでしょう。

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まず、入力まわりはかなり良いです。ThinkPadについては昔から言われていることですが、キーボードはやはり高品質です。なんというか、しっかりと押した感触が伝わってきます。MacBook Proよりも個人的には良いような気がします。そして、ThinkPad名物のTrackPoint(赤ポチ)とタッチパッドによるポインティングデバイスです。タッチパッドはそれ自体が押せるようになっており(MacBookよりのインスパイア?)、位置によって左右のクリックが可能です。赤ポチを使う場合、キーボード上からほぼ手を動かさずにポインタを操作でき、なかなか快適です。昔のものと異なり、赤ポチは柔らかく、指先が痛くなることはなさそうです。クリックボタンの真ん中ボタンを押しながら赤ポチを操作することで、画面のスクロールが即座にできるのもとても便利です。

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それにしても、これはいったい何通りの使い方ができるのか!赤ポチとタッチパッドで好きなほうを選べ、クリックの方法はクリックボタン、タッチパッド押下、タッチパッドをタッチの3種類も存在します。スクロールも、赤ポチ+真ん中ボタンとタッチパッド淵をなぞるのの2種類から選べます。当然、気にくわなければマウスを接続することもできます。まさに全部入りですね。シンプルさを追求しているApple製品とは対極的です。

次に搭載ソフトウェアです。富士通や東芝ほどではありませんが、結構lenovo独自のソフトが入っています。中には有用なものもありますが、ゴミもそこそこありました。有用なものとしては、「省電力マネージャー」があります。これは、電源接続の有無によって画面の明るさやCPUの動作速度などを変更することで、バッテリの持ちを最大限に延ばしてくれるものです。UIもそこそこ良くできています。不要なものとしては、「lenovo Solution Center」やノートンアンチウイルスをはじめとする有償ソフトの体験版でしょうか。

↓さすがに、ここまで来るとかわいそうな気もしますが・・・

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「lenovo Solution Center」は、lenovo独自の、Windows 8をパクったようなアプリケーション起動メニューを表示するものです。常駐しますし、見かけの品質も良くなく、完全に不要物です。ノートンアンチウイルスの30日体験版も、ポップアップなどを出してくるだけでうっとうしいですし(これ自体がウイルスみたいなもの)、今は「Microsoft Seculity Essentials」というMicrosoft公式の無償ウイルス対策ソフトがあります。これらは、即刻のアンインストールをお勧めします。

おそらく、このような体験版を同梱する理由としては、それによりソフト会社からlenovoにお金が支払われ、本体の低価格化に貢献できるためと思われます。

ともあれ、Windows 7も快適に動きますし、総合的には「良い」製品だと思われます。


ですが、個人的には今のところあまり使い道が・・・。現在のメインPCはMacBook Proの2007年モデル(Core 2 Duo)ですが、現在でもほとんど不自由なく使えています。今回のThinkPadのほうが性能は断然上ですが、UNIX Toolsを使う上ではOSXのほうが都合がよいですし、ガチ計算でもやるのでなければ使い勝手が良いほうが良い。ので、しばらく事務処理専用機ですかね。残念。

↓現在の自宅のコンピュータ環境。モノは、性能より「好き」で選ぶことにしている。

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VIA ESIに参加しました。

先日、2月6日から15日まで、VIA ESIという海外研修プログラムに参加してきました。ESIはExploring Social Innovationの略で、社会イノベーションに関する学習、ワークショップ、訪問が主でした。VIAは1960年台から活動している非営利団体のようです。今回は、東大のGCLプログラムを通した参加です。

場所は、アメリカ・サンフランシスコです。IT企業やコンピュータ・サイエンスの聖地である、シリコンバレーやスタンフォード大学から程近いアメリカ西海岸の都市です。街でもその匂いは感じられ、ホテルのすぐ近くにTwitterの本社があったりしました。

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ホテルはこんなところ。もうすぐ創業100年になる老舗ホテルのようで、内部も歴史が感じられる作りでした。

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今回訪問した団体は、次のようなところです。

  • Episcopal Community Services (ホームレスの支援)
  • KIVA (マイクロ・ファンディング)
  • Delancey Street Cafe (元受刑者の支援)
  • Stanford大学 d.school (様々なイノベーションの創出)
  • BAYCAT (映像制作を通じた、経済的に困難な子供の支援)
  • Impact HUB (コ・ワーキング・スペース)
  • Autodesk Gallery (CADで有名なAutodeskのギャラリー)
  • Code for America (公共システムのオープン開発)

また、学習やワークショップの主なトピックは次のようなものでした。

  • アントレプレナーシップ (起業家精神)
  • ストーリー・テリング (自分の体験などを話を通じて人に伝えること)
  • プレゼンテーション
  • デザイン・シンキング (イノベーションのための思考法)
  • エコシステム
  • フィランソロフィ
  • MOOCs (インターネットを通じた授業配信)
  • リフレクション (行ったことの振り返り)

今回の主なテーマは「社会イノベーション」であり、社会問題やそれに対する非営利団体(NPO)の挑戦など、自分がこれまで関心を持ってきたものづくりやITサービスなどとは少し離れた領域でした。それだけに、知らないことが多くあり新鮮でした。以降、今回体験したことや学んだことなどを何回かに分けて書いていこうと思います。